01.I'm not like you

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カズキと初めて逢ったのは、小学校2年生の時だった。 口の悪さと僕想いなところは今も変わらない。 その夜、雪が降り積もる中、僕は家から閉め出されていた。 月が綺麗だった記憶があるが、満月か三日月か覚えていない。 それどころか、雪降りだったから、本当は月なんて出ていなかったのかも知れない。 人間の記憶は曖昧だから。 輪郭すら忘れるくらいに。 「どうしたんだよ?」 それがカズキの第一声だった。 「パパに怒られて、反省しろって……」 「ふーん。こんな時間に、雪の中、薄着で反省しろってか?」 「だって、悪い事したんだもん」 「何だよ、悪い事って?」 記憶は曖昧だ。 僕は確かに、カズキに怒られた原因を語ったはずだ。 でも、それが何だったのか、今では、もう、想い出せない。 「君は近所の子なの?」 「まぁそんなとこだな。多分、お前より上の学年だよ」 「僕はマオ。君は?」 「俺はカズキだ。変な奴、女の癖に僕って言うのか? まぁ何かあったら、俺が助けてやるからな」 今でも、幼いカズキの笑顔を覚えている。 凍えた月の様な笑顔。 そうか、だから月を見た気がするのかも。 ……輪郭は雪に掻き消されたように忘れてしまったけど。 I'm not like youーー 僕は君とは違うんだ。
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