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ドアが開く。カズキだ。
「やめろよ! 嫌がってんだろ?」
「何? 何だお前は、急に?」
突然の事態に、狼狽える父親と母親を尻目に、カズキは僕を連れ出した。
コンビニで缶ジュースを買って、公園の遊具に隠れるようにして飲んだ。
きっと、カズキの説教が始まる。
呼び出したのは、僕なんだけど。
「大丈夫だったか?」
「うん。でも、これからどうしよう……家に帰れない」
「あんなとこ、家じゃないだろう。
もう選ぶ時期だぞ。お袋さんか、自分か」
「分かってる。きっとママはあいつから離れない。だから……」
「だから、何だよ? はっきり言えよ」
「……だから、僕は家を出る」
「どこか、あてでもあるのか? 言っておくけど、俺んとこは無理だからな」
「分かってるよ。よく、分かってる」
「だけど、こうして、マオの傍に居てやることは出来る」
カズキは僕の頭を優しく撫でた。
彼は、僕が望んだことを、口に出さなくても分かってくれるんだ。
だから、僕はカズキ依存症になってしまう。
このことは、良くないことだと、僕もカズキも分かっている。
secretーー
カズキには内緒にしてるけど、実は一度彼氏ができたことがある。
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