夏、思い出

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(はずだったのに...!) 今日、高校にジュースが転入してきた。 僕がアイスであること以外、何の変哲もない日常だったはずだ。 いつも通りの時間に起きて、母に挨拶をして、家を出た。 いつも通りの時間に来る電車に乗り、電車内で視線を向けられ、学校に着いた。 いつもの時間に朝のホームルームが始まり、いつもの担任が話をした。 そして、いつも通りではない生徒が入ってきた。 「今日は転入生がいる。入ってこい」 と、担任の先生は転入生に教室に入って来るよう指示した。 「入野勇樹です。よろしくお願いします。」 と、先生に促され入野は自己紹介をしたのは、顔の整ったスタイルのいい男だった。 「ジュースかよ...」 ジュースだと気付いているのは恐らく僕だけだろう。アイスとジュースはお互いを認識し合える。つまり、僕が入野をジュースだと気付いたように、入野も僕をアイスだと気づくことになる。 周りの生徒が転入生について話に華を咲かせる中、僕は入野に恋をし、消えてしまう恐怖に頭の中を支配されるばかりだった。 その後の記憶はよく憶えていない。 ただ家に帰ると思い返したように恐怖が襲い掛かってきた。
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