魔女と魔法の剣

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「今日のこの日をどれだけ待ちわびてきたことか!」  お祭りムードの中、国王は城のバルコニーから国民に語り掛ける。 「かの魔女がドラゴンに姿を変えて、この国を襲う様になって十六年。やっとその戦いに終止符を討つ事が出来た」  国民は静かに王の言葉を待つ。 「我が王妃と国を守ってくれたドラゴンスレイヤーを紹介しよう」  国王に促され、アレックスは国王の横に並ぶ。 「アレックスだ!」  国民からアレックスに喝采が送られる。 「そして、このアレックスは我が娘、エリシアと婚姻を結ぶ事になった」  アレックスの横にエリシアが並ぶ。  エリシアは恥じらいながらも観衆に向かって手を振る。  アレックスは照れ臭そうに顔を赤らめる。  幸せそうな二人に国民は祝福を惜しまない。  その後、魔女グレイスの死体は何日も通りに曝された。  その姿を見てもアレックスはその残忍さに言葉を失ったが、ただそれだけだった。  アレックスは自分の母親の本名も知らない。  それは国王も知らない。ましてや彼の異母兄弟が誰なのかも。  それが幸か不幸かは誰にも分からない。
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