4人が本棚に入れています
本棚に追加
「今日のこの日をどれだけ待ちわびてきたことか!」
お祭りムードの中、国王は城のバルコニーから国民に語り掛ける。
「かの魔女がドラゴンに姿を変えて、この国を襲う様になって十六年。やっとその戦いに終止符を討つ事が出来た」
国民は静かに王の言葉を待つ。
「我が王妃と国を守ってくれたドラゴンスレイヤーを紹介しよう」
国王に促され、アレックスは国王の横に並ぶ。
「アレックスだ!」
国民からアレックスに喝采が送られる。
「そして、このアレックスは我が娘、エリシアと婚姻を結ぶ事になった」
アレックスの横にエリシアが並ぶ。
エリシアは恥じらいながらも観衆に向かって手を振る。
アレックスは照れ臭そうに顔を赤らめる。
幸せそうな二人に国民は祝福を惜しまない。
その後、魔女グレイスの死体は何日も通りに曝された。
その姿を見てもアレックスはその残忍さに言葉を失ったが、ただそれだけだった。
アレックスは自分の母親の本名も知らない。
それは国王も知らない。ましてや彼の異母兄弟が誰なのかも。
それが幸か不幸かは誰にも分からない。
最初のコメントを投稿しよう!