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「それで? 子供は男児? それとも女児?」
ドレスの女が冷たい視線で問いただす。
グレイスは我が子を守る様に強く抱き締める。
産婆が女の側で跪く。
「王妃様。どうかお慈悲を」
「そう。男児なのね」
王妃は産婆からグレイスに視線を移す。
「……貴方が悪いのよ。我が夫を誑かし、男児を産むなんて」
王妃は兵士達に合図を送る。
それを見て、老人は持っていた杖を振り上げる。
その足元には魔法陣が畫かれていた。
「逃さないで!」
そう言い終わるか否か、老人が魔法陣を杖で叩くと部屋の中に眩い光が溢れる。
光が消えるとベッドごと、老人もグレイスも姿を消していた。
王妃は怒りに打ち震える。そして神妙な面持ちの産婆を睨みつける。
「殺しなさい」
そう王妃が言い放つと兵士の剣が産婆の胸を貫いた。
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