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更に時は流れ、アレックスはお墓の前に立っていた。
「じいちゃん。俺、やっぱり城の兵士に志願するよ。じいちゃんはずっと反対してたけど、城下では沢山の人が困ってるんだ。だから行くね。母さんが遺してくれた形見の剣もあるし、きっと生きて帰ってくるよ」
アレックスはそう墓前に語りかけると歩き始める。
アレックスがカラマンの街に着くと志願兵募集の列へと並ぶ。
すると、前に並んでいた男がアレックスを振り返る。
「あんたも姫様狙いか?」
「……姫様?」
「知らんのか? ドラゴンを殺した者は姫様と結婚出来るんだぞ? そうすりゃ次期国王も夢じゃない!」
そう言うと男は鼻を擦りながら笑った。
「俺はそんなの興味無いね。自分が出来る事をしたいだけだ」
「ほう。それじゃあんたがドラゴンを倒したら姫さんは俺にくれよ」
「あんたが女を泣かせる奴じゃなければ考えるよ」
男は一瞬驚いた表情を見せるが直ぐに破顔する。
「言うねぇ。俺はギャランだ」
ギャランが差し出す手をアレックスは握る。
「俺はアレックス。宜しく」
「言っておくが、俺が女に流させるのは嬉し涙だけだぜ」
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