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「久しぶりに帰って来たと思ったら、学生の身でそんなことを考えおったか」
じいさんは相変わらず威圧的だった。
まあ慣れているから、横柄な対応にも今更思うこともないけど。
「そんなことを考えなかったら帰って来てもいない」
「じ、じいちゃんっ、今は兄さんの話を聞こうよ」
三年ぶりに逢っても喧嘩腰の俺とじいさんの、間に座っている正基が慌てて言った。
「そんな奴が何故来た」
ふんぞり返るようなじいさんだけど、両親に代わって俺たちを育ててくれた祖父さんだ。
「――彼女を見ていて、俺にも通すべき筋があると思った。絶縁していても、俺を育ててくれた家と家族だ。認めてもらえなくても、俺から報告すべきことだと」
「……認められなくても、結婚すると?」
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