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1 好きになった人はオオカミでした。
こ、こういうときどうすればいいんだっけ……。
三人の男の人に囲まれて、私、呆然としていました。
大学の学祭に友達と来たんだけど、すごい人波ではぐれてしまって、取りあえず連絡取れる場所をと思って人でごった返している大きな通りを少しだけ逸れたら、大学生とおぼしき男の人たちに声をかけられてしまった。
流れ的に……大変よろしくないと思う。
「あ、あの、私友達と合流しますので――」
「じゃあそこまで送ってあげるよ。迷ってたんでしょ?」
「……えーと……」
言い方は丁寧だけど、表情がイヤ。はっきり言って気持ち悪い。
なんかこう……下心が透けている、みたいな。
もう呼んじゃおうかなあ……そう思って、ポケットに手を入れたところで、
「ねえ、何やってんの?」
ふと、穏やかな声が割って入って来た。
私は思わず助けを求めるようにそちらへと視線を動かした。
そこにいたのは、白衣に黒縁眼鏡の背の高い男性だった。
少し首を傾げた動作が子どもっぽく見えるけど、やたら整った顔立ちをしている。
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