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5 数年ぶりの実家です。
side正冬
「兄さん!」
「おー」
実家に帰ると、一つ年下の弟の正基(まさき)が家の前で手を振っていた。
相変わらず子犬みてーな奴。
「おかえりっ」
「……ただいま。随分背ぇ伸びたな」
俺が絶縁されたのが三年前。
それ以来一度も帰っていなかったから、三年ぶりに逢うってことだな。
「そのうち兄さんを追い越すよ。ねえ兄さん、今日帰って来てくれたのって……」
「ん? ああ、じいさんに話すことがあってな」
「……うちに戻ってくれる、とか?」
正基の声には期待が見える。俺ははっきりした返事が出来ない。
祖父の対応いかんによっても、今後の俺の方針が変わってくる。
「お前には先に言って置く。俺、結婚を考えてる人がいる。そのことで話しに来た」
「……………え?」
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