3 ……やっぱり(優しい)オオカミでした。

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3 ……やっぱり(優しい)オオカミでした。

side正冬 ……また、研究室にこもりきり生活に逆戻りだ。 ちーちゃんは陰陽師の大家、影小路本家の二女。 俺は神祇宗家のうちの一つ、大神家の長男だけど、勘当された身。 正直、壁はたくさんある。 ちーちゃんはもう家の仕事もしていて、俺は大学生で研究詰めの毎日。告白をした日以来、まともに逢えていない。 連絡は毎日取っているけど、時間がなかなか合わない。遅れて返事をすることの方が多い……。 自分の不甲斐無さに呆れて、所属する研究室で研究経過を書いているノートを前に、ため息をついたとき。 「大神―、お客さんー」 「あ、おう」 廊下から同輩に呼ばれて、顔をあげた。 お客さん? 珍しいな。……まさかちーちゃん? そんな想像に自分でドキッとしてしまった。 ちーちゃんと出逢ったのがこの大学だから、訊ねてくることがあっても不思議ではない。 ……が、呼ばれた先にいたのは男が二人だった。 研究生たち――特に女子――が、ほかの研究室の窓から覗き見ている。 ……あんまり近づきたくないくらい目立つ二人だな。
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