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「あ、早速来たね。例の、外部の人だよ。君に対応を頼みたい」
……え、私?総務じゃなくて?
「社長、私……仕事が」
これ以上、仕事が増えるとなると、とてもじゃないが……
「それも、チャンスだよ。いきなり君が、補佐の仕事が出来ないとなると……君の存在が如何に大きいか、ね。自分ですればいい。あいつらが」
そう言って、笑った。つまり、営業の補佐をせずにこちらをということか。
あまりに急過ぎて。
「お通ししても宜しいですか?」
総務の志田さんの言葉に、そうだ、来られてるのにお待たせするのも申し訳なかった。
社長を見て頷くと
「ああ、通して」
社長がそう言ってしばらくすると入って来たのは……
咄嗟に思ったのは、ヤバい!私、ビジネス英語は話せない。
そう思って直ぐにその心配が無用な事が分かった。目の前の柔らかいブラウンの髪、ヘーゼルの瞳、そして……背の高いその男性が流暢な日本語を話し出したから。
「初めまして。お世話になります」
そう言って差し出した名刺に目を通すと
おもいっきり、日本語名。……え、日本人なの?おそらく、その失礼な思考が筒抜けだっただろう私の顔に、彼が言った。
「I'm Japanese.」
今度は流暢な英語でそう言った。
私ですら理解出来る英語で。
「し、失礼を……」
思わず俯いた私に、彼は優しい目を向ける。
「そんな事より、イケメンだと思われたい」
……はい?その場で立ち尽くす私に
「はは、それくらいにしてやって。彼女、ほら……」
社長がそう言った。彼の瞳が、明らかに私をからかっているのが分かった。
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