どろだんご

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どろだんご

 幼い頃、砂場でどろだんごを作って遊んだことはよく覚えている。 手を泥んこにして作っただんごの大きさや固さを友だちと競い合い、両親に衣類を汚すなとよく叱られたものだ。幼かった私は、ほかの遊びはさることながら、どろだんご作りは一体、どこの、誰が考案して広めたのか、知ろうともしなかった。 検索に「どろだんご、いつから、起源」と入力して調べてみるが、どうやら検索にはひっかからなった。 意外なことに、娘の通う幼稚園の先生は知っていたが。  「どろだんごは、縄文時代から製造されたと言われています」  「縄文時代から?」半信半疑で訊ね返す渡しに先生はこう答えた。  「縄文時代は、製造した土器に縄で模様を付けたことから、縄文時代と言われています。どろだんごは、所謂土器のひな型と言えますから、土器の製造行程を広めるために作らせたのではないか、と考えられます」  「そうなんですか」  「おそらく、病気や怪我、災いなどから身を守るために、土器を作らせたのではないでしょうか。縄文時代は現在のように病原菌らウイルスの認識がなかったので悪霊の仕業だと考えられていました」  「ありがとうございました」  検索しても出てこない情報を知っているひとがいることも、どろだんごにそんな歴史があったことも、私には充分驚きだった。 何故、私がどろだんごについて詳しく知ろうとしたのか。それは今から一週間前に遡る。
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