◆◇クーとアム◇◆

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 軽装に早変わりしキッチンへ入り食事の準備に入ります。 お湯を沸かし野菜を切り煮込みながら香辛料をいれます。  そうすると遠くからグーっと大きな音がなり、 振り向くと部屋に閉じこもっていたアムが出て来ました。 「今日のごはんはなに?」 「野菜スープ」 「えーまたー?」 「いやなら食べなくても良いよ?わたしだけ食べるから」 「そうはいってない!食べる食べる食べる食べる!」 「はいはい、たくさん作ったからおちついて」 「わーい」  ちいさくても2人でどうにかやっていける工房で、 アムはお客さんに薬草を売って、 わたしは人の役に立つ為に走り回って生活をする。  こんな毎日がずっとずっと続けば良いなと、 大口でスープを飲み干しているアムを見て、 わたしはそう思うのです。 「アムなんで先生がきたの?」 「まず怒らないと約束して!」 「……うん、わかった」 「ぜったいだよ!」 「うん」 「あのですね、先生から早急に借金を返せといわれました」  この言葉に怒るなといわれて怒らない奴はいません。 「どうして!毎月返してるでしょ!――まさか!?」 「ちがうちがうちがう!あ、魔法をこんなところで使わないで! お願い!神様!たすけて!!」 「わたしは神に見離されたから天罰なんてかんけいない!」  このあと工房にできた大穴を修繕する錬金術士見習いが よる夜中まで泣きながらトンカチを鳴らし続けておりました。
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