ホール、ホールド、オーバーホール

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 そして私たちは高校生になった。  クラスは別々になっちゃったけど、それでも私たちはこれから同じ学校に通って、これまでみたいに同じ時間を過ごしていけるんだ、はじまったばかりの高校生活に、私はたくさんの期待しか持っていなかった。  かなえのことを考えてそわそわしながら、はじめての授業が始まる。  新しいクラスメイトたちや先生と挨拶を交わし、慌ただしいながらも無事に高校一日目は終わった。  そして放課後、それまで眠っていたはずの私のあのアビリティが、またしても活躍し始める、今、校舎のどこにかなえはいるのか、私はその慣れ親しんだ彼女の気配を探っていく。  下校時間になって、まだ見慣れない廊下を、新一年生たちがわいわいと歩きまわっている、それをかき分けるようにして、私はかなえの姿を探した。  そして、ついにかなえの姿をみつける。  「かなえー!」  私が声をかけると、かなえは振り向いた。  ちょうど、かなえは帰ろうとしていたところだったみたいで、私とおそろいの真新しい制服のスカートを揺らしながら、手に持っていた通学カバンを持ちかえた。  「一緒に帰ろうよ、かなえ」  駆け足で私が近づいていくと、そうだね、と言ってかなえは笑った。  それはいつものかなえの笑顔だった。何も変わらない、いつもどおりの。  ふたりで並んで歩きながら、これまでのように学校のこととかを話して帰った。  そして私が差し出した交換ノートを、かなえは受け取ってくれた。  これから高校での勉強はもっとたいへんになるだろうから、今までみたいにこのノートを使って、一緒に勉強をしていこうねって言いあって。  だけど、こんなふうに二人だけで、それまでのように過ごせたのは、この日を含めた数日だけ、そしてもうそんな日は二度と来ることはなかったのだけれど。  
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