黒い噴火

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 目の前にはパチンコ屋があった。  古い店構えで、もう何年経営しているのかも分からない。ただ、そのにぎやかさは商店街一だろう。その隣にはこれまた古い喫茶店がある。パチンコ屋の帰りに勝った人間が祝杯を挙げたり、負けた人間が悪態をついたりするのだろう。  軒先に立っているよりましかと思い、喫茶店に行きかけて思いとどまった。念のため財布を開けてみると、やはり思いとどまって正解だった。うすら寂しい財布をポケットに押し込み、俺は仕方なくその場に立ち続けることにした。  ただ立っているというのは果てしなく退屈なもので、おまけに時間が過ぎるのも遅くなる。路面のでこぼこにはあっという間に水溜りが出来ていて、雨のしずくは間断なく波紋を作り続けていた。それを見つめ続けるもまた一興。  もちろん嘘だけど。  幸いな事に今の俺にはさっき手に入れた情報誌がある。安い紙でできた雑誌を湿気にさらすのは嫌だが、退屈のまま雨が止むのを待つのも辛い。小ぶりになったら走って帰ろうと心に決め、それまでの間だけと情報誌を開いた。。
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