繋がり合う

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慶はそこまで気に留めず、道路に出られそうな場所を目指して真っ直ぐ歩く。 …しかし、ふと何かに違和感を感じた。 歩いてすれ違う何人かの人が、全員男に見受けられたからだ。 そして…そういう関係なのか、手を繋いだり、体を密着させ店に入ったり…。 もしかすると、そういう人の集いの場なのではないかと、慶は薄々気付き始めた。 それでも、知り合いなんて居るはずもないし、自分には関係ないと、立ち止まった足をもう一度進ませようとすると。 「…おい」 低く、でも一瞬なのに耳に直ぐ届くような、特徴のある声に、ピタリと足先が止まる。 呼び止められたのだろうか?まさか…と思う慶だが、次の事で気がぐるりと動転させられる。 「え…っ、何?ちょっ…!」 突然、後ろから手首を掴まれたのだ。慌てて振り向くと、全く見知らぬ男だった。 何か悪い事をしただろうか。 だが、そんなこと考える間もなく、そのまま強引に引っ張られ、人目につかないような、暗い路地裏のような所に、早足で連れて行かれた。
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