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『じゃあ『スノー』さん、よろしくお願いします!』
『こちらこそ、よろしくね。『ありす』ちゃん』
いつものゲーム内の待ち合せ場所で出会った『ありす』と『スノー』は挨拶を交わして握手する動作に、士朗はにやにやと緩む頬が止められない。
「ホント『スノー』さんは、相変わらず綺麗で優しい。『スノー』さんの正体がこんな人を寄せ付けないオーラバシバシ発してる様な奴だとは思ってもみなかった!」
「可愛い『ありす』ちゃんが、お前みたいな奴だったとは俺も思わなかったよ……いや、猪突猛進なところは結構そのまんまだな」
「うるさいな、いつもサポート感謝してるよ!」
「素直だな」
「助けられてるのは、事実だからな。俺はちゃんと感謝は出来る子だ」
「くく、そうだな。確かにそういう所も可愛い」
「何だよ、けなしてんのか褒めてんのかどっちだ!」
「褒めてる褒めてる」
「本当かよ……」
「ほら、このダンジョンだ。行くぞ」
「おー! レアアイテム絶対ゲットするぜ」
「ランキング上位も狙うか?」
「もちろん」
「じゃあ、効率よく行くぞ」
「作戦は任せる」
「了解だ」
驚くほどぽんぽんと会話が続く。アバターを動かしながら、二人でわいわい言いながらプレイするイベントはことのほか楽しく、あっという間だったと思っていたカフェで喋っていた時よりも、更に体感としては早く時間が過ぎた。
一通りダンジョンの探索を終え、残すは最下層のみとなったタイミングで士朗が大きく背伸びをすると、雪哉がパソコンの場面から視線を外す。
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