433人が本棚に入れています
本棚に追加
#19 取り戻す:すべてはこの腕の中に
すっかり陽が落ちて、時計を見ると昨日この部屋へ戻ってきた頃だった。
あれから二十四時間……なんて長い一日だったのだろう。
疲れきっていた由璃子は帰りのタクシーの中で寝てしまった。透矢はそのまま彼女を抱きかかえて部屋まで連れてきて、そっとソファに寝かせた。
ぐっすりと眠る由璃子の顔は穏やかで。そのあどけない寝顔をじっと見ていた透矢は愛しさが募って。髪に触れ、頬を撫で、額に優しく口づけた。
夕飯の時間だけれど、ひとまず由璃子が目覚めるまでは寝かせておきたい、そう思った透矢はダイニングテーブルにPCを持っていった。
ゆっくりとPCを開く、さらにひと呼吸置いてからSDカードを挿し込んだ。
目をぐっと閉じて頭の中を空にすると、貼りついている両まぶたをじりじりと離していった。
ひらけた視界の先に見えたのは——
——由璃
由璃? 由璃、なのか……?
最初のコメントを投稿しよう!