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ダイニングチェアから立ち上がった透矢は、リビングへ向かった。
ソファの前に膝をつくと、勢いよくガバリと由璃子を抱きしめた。
あまりにもぎゅうぎゅうと力強く抱きしめるので、透矢の腕の中で由璃子が動きだした。
——ああ、ごめん、寝かせてあげようと思っていたのに
「ん……」
「由璃」
「……とう、や……どうしたの」
わからない。いまは何もかもがよくわからないんだ。嬉しいのか苦しいのか、それすらも。
でも……
いまこうやって、由璃がここにいること、一緒にいられること、いまはこれだけでいい。
しばらくの間、透矢はしがみつくように由璃子を抱きしめていた。
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