異変 ーはじまりー

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首都圏の大動脈が突然と途切れたことで大混乱が起こった。 ふたつの主要な電車が通れなくなったことで通勤通学の足がなくなり学校や会社への移動手段が消えたことは計り知れない打撃を与え、さらに市川橋が通れなくなったことにより、物流の動きにも大きな影響が出ることになった。 幸いなことにというか、なぜか不思議なことだが、橋が消えたのは3箇所だけで、その上流も下流も無事だったから、物流は上流の新葛飾橋や下流の京葉道路を通る江戸川大橋ルートに振り分けられることになった。後者は有料道路であるが、篠崎ICと京葉市川ICの間は無料で通行できるので橋のたもとの渋滞は以前にもましてひどいものになり、この影響で下流の今井橋にもさらなる大渋滞を引き起こすことになった。 京成電鉄本線は京成江戸川と国府台まででそれぞれ折返し運転、総武線は小岩と市川までで折り返しになり、各線の利用者は経路の変更を余儀なくされた。あるものはバス路線に活路を見出し、またあるものは京成成田線や都営新宿線に移行せざるを得なくなっていた。 今までは駅まで歩きで行けたものにも、この路線変更は大問題で、自転車やバスを利用して遠くの駅まで行くものが増えたが、駅周辺の駐輪場はすでに飽和状態であり、違法駐輪が大問題になってきた。さらに駅の内外にも乗客が常時大行列をするようになり、たびたび入場規制が行われるようになった。 また、バス会社も臨時便を増発したり、新たな運行ルートを作って需要にこたえようとしていたが、通勤通学時間帯のさらなる渋滞問題を加熱させ、バス停はどこも大行列になり時刻表はあって無い状態になってしまった。 当然のことであるが、今までいなかった人間が、突然別の列車やバスを利用することになったわけだから、大混雑が日常的に続くことになったのである。特に本八幡駅周辺は京成本線や総武線の利用者が都営新宿線に乗り換えるためや、バスでたどり着いた人たちで常時人があふれ大行列が絶えない状態になった。 僕はといえば、その頃、高校に通っていたのだが、さいわいにも小岩駅から西に向かう列車は運行していたので、電車は何も変わらなかった。むしろ、千葉方面から直接乗ってくるひとが減ったため、始発駅の利点を活かして座ることもできたりした。 ただ、市川からバスで遠回りしてやってくる人たちが増えたため、駅前のターミナルの人混みは以前とは比べものにならないくらいひどいものになっていた。 高校の同級生に聞いたところでは、京成本線も同様で、特に京成江戸川駅は京成小岩よりも利用者が増えたために混乱の度合いが格段に上がったという。始発駅になったわけだから、総武線の小岩と同じだ。
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