龍神

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龍神のたたりが信じられたかどうかはわからないが、政府の中に、 【川の上じゃなくて下ならどうだろう?】 という意見を提案するものが出てきた。 今まで何十年も物流やひとの流れを支えてきた大動脈が突然消え、それが現在も途絶えたままというのは大きな損失である。なんとかしてそのルートを再建できないものかという検討は幾度もなされてきた。 川の上で何かをすると駄目だということなら、川の底を通すのなら大丈夫なのではないかという希望的観測である。もしもそれが完成すれば、千葉から東京への直通ルートが再開され、今まで他の路線へ分散されていたものがもとに戻れば、飛躍的な経済効果につながると目された。 国道14号線の断絶が無くなれば、そこ経由でバスの運行が可能になり、総武線にしても京成電鉄にしても駅と駅の間のバス輸送が格段に時間短縮になることが期待されるため、鉄道トンネルよりも道路を最優先することが決定された。 シールドマシンによる川底トンネル建設が始まった。江戸川区側と市川市側の両方から掘り始めたが、もとの市川橋であれば400メートル足らずのところを、トンネルになると勾配の関係でさらに距離が必要になり、総延長は1キロを越えることになった。
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