第六話:多くの芸術家がそうであるように、科学者もマイワールドの中で生きているのね。

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若干凹み気味だった私の気分を察したかのように、桃芽ちゃんが私の手をぐいっと引っ張って、土のロッドの音色がした一室へと向かった。  そこは、研究棟の一室で、フラワーアートというのだろうか?たくさんの花が飾られていた。 壁には 『フラワーアートアイデア賞:安土琴野様』 と書かれた額入りの賞状が掛けられていた。 この部屋は、スクロールカーテンで、ほぼ中央で分断されていた。 スクロールカーテンの向こう側に蛍光灯の光と物音がしたためカーテンを開けてみたのだが・・・。  さらに、驚いたことに、こちら側に一歩踏み入れた瞬間に、あのファントムとか言うマスク男がいたのであった。 しかし、そこにいた、いかつい系の男性型エルフィンが、一瞬だけ人間サイズになったとたんに見事なアッパーカットをマスク男に食らわせて、目の前を左から右へと吹き飛んでいった。 そして壁にぶち当たって、そこでのびていた。  研究員風の高校生:  「なに、こいつ、あんた達の知り合い?」  と、非常に冷静な口調で私たちに言った。 きっとマスク男は、土のロッドを手に入れるため、私たちの先回りをして、逆に返り討ちにあったのだろう。 それを想像するのは容易だ。 しかし、このマスクをすると、身体能力が向上するはずよね・・・。 敵とはいえ、なんでこんなにいつもあっさりとやられてしまうのだろう? なんだか哀れみさえ感じてしまう。 とはいえ、マスク男とは知り合いでもなんでもない。 誤解を払拭して、それから事情を説明しなきゃね。  それから、新聞の記事を見てここに来たこと。エルフィンマスターの仲間を探していることを説明した。
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