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どうしよう。
もう信じるしかない、のは分かるけれど。
なんで、どうやって、と色んな疑問だけがグルグル回って混乱している。
何か言わなきゃと思いながらも、動揺と不安で何も話せない。
「…、大丈夫?突然こんな一気に話してごめんね。」
すると、そんな俺の様子に気づいてか、リオンさんが声をかけてくれた。
その声に何故か少しだけ安心して、顔を上げると、リオンさんは心配そうにこちらを見ている。
安心したことで、先程からずっと黙ったままで、しかも自分が名乗りもしていないかったことにやっと気づき、慌てて言葉を発する。
「あっ、あの。俺の名前は高橋タケルです。名乗りもしてなくてごめんなさい。こっちは、セキセイインコの”コメ”です。…………そして、多分なんですけど、俺たちはその、…………その、異世界、から来たってので間違いない、と思います。」
…………自分でも未だに信じきれていない。
けれど、感覚はここは異世界だと言っている。
状況がそれを裏づけている。
そして、実際に異世界から来たのだ、と言葉に出して見た事で、たった今、これは本当に現実なんだと変に腑に落ちてしまった。
そうなれば、もうしなければならないことは決まっている。ここはもう知っている世界じゃないんだから。
俺は、目の前のこの人に助けてもらわないと、きっと、今日一日だって乗り越えられない。
「…………あの、図々しいお願いだとは思うんですが、俺のこと、助けてくれませんか…?今日一日だけでいいので………」
真剣さが伝わるように真っ直ぐにリオンさんを見つめ続ける。
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