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アエノンはしばらくその響きに耳を傾け、イザルダが頷いた。
二人の間で何かやりとりがあったようだったが、他の者には分からない。
「わたくしは大公フィッツジェラルド殿下が言ったようにミステス・フランクリンのコンサートに出席しようと思います。後のことは、アエノン、イザルダ。任せます……頼みましたよ」
二人は頭を垂れ、
「ヴィクテルム・ラーム、ラーム、ラーム……アンビュロフの末裔に太陽神ラームの加護がありますように」
そう、祈りを捧げた。
ユディアは少し頬を緩め、ポケットから古い鍵を出した。
「鍵番のアエノンが何よりも大切にしているお守りをくれましたし、わたくしには魔の手がついています。だから、必ず光あふれる道を見つけてみせます」
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