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数人の淑女は隠し持っていたとみられる宝石を、これみよがしに飾りたてていた。
戦争中にも羽振りが良かった、ビジネスマンの夫人や新興勢力の政治家夫人だ。
夫達はラウンジでカクテルを片手に談笑しながら、女子学生が籠に入れて、古靴下で作ったぬいぐるみを手売りしているのに、鷹揚に答えていた。
「このぬいぐるみは、ミステス女史が特別にメッセージを書いてくださったんですよ」
ある紳士に灰色の髪をきゅっとつむじの辺りで結んだ、少女が話しかけた。きりりとした表情をしていて、年齢は十五歳くらいだろうか。
少女と言うには胸の辺りにも、ほのかな女性らしさが垣間見える。
紳士は、少し酔ってきたのかと自覚しながらも、美少女が差し出してくるぬいぐるみを言い値で買った。
その背後から新聞記者が姿を見せる。
「リアド・トラクスの事務次官、オステガル卿でいらっしゃいますね。是非、ボランティアに協力的なところを写真に撮らせてください」
「おお、いいだろう。女子学生のみなさんと一緒に撮ってくれたまえ」
機嫌良く、大陸政治の中でも権力の中枢にいると目されているオステガル卿が女子学生の肩に手を置いてウサギのぬいぐるみを持ってにっこりと笑った
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