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家から通える生徒が少なかったために、空き部屋を寮にしたので毎朝、こうして顔を合わせる。
プシラの体調が良くなるまでの間、学校に通えるように頼んだのはユディアだった。プシラも学校に通うのをとても楽しみにしていたのだが、今はまだ声の調子が悪くて話すことができないでいる。
髪が魚のうろこのような不思議な銀色をしていて、手作りの鮮やかなビーズを編み込んでいるのがとても良く似合っていた。
道士としての日課はおろそかにできない……毎朝夜明け前から、太陽が昇るのを待ち構えお祈りを捧げる。
ユディアは最近、プシラと一緒にお祈りをするようになったので、二人の護衛という立場で学校に入学したシャレットも眠い目をこすりながら一緒にいるのだった。
ユディアは制服のポケットから、お祈りに使う金縁の手鏡を出しながら、ジェフリに笑いかけた。
「ジェフリも早いですね。リュヘル道士のお手伝いですか。毎朝、大変ですね」
最近、ユディアは良く笑うようになった。
イリナス皇太子とやっと再会できたのが、彼女の心の重荷をひとつ取り除いてくれたのだろう。
プシラは声が出ないからユディアが祈りを代読する。
二人の祈りの姿を見たことは無かったけれども、ユディアの様子が落ち着いてきたのはプシラとの祈りの時間を持ったことが大きいのでは無いかとジェフリは思っていた。
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