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「姉さんが、夏目を連れて来いと騒いでいてね……早く、逃げよう」
俺も、ドレス姿なので、純花に見つかりたくない。だが、エレベーターを避けて、階段を降りようとした瞬間、後ろから冷たい声が聞こえてきた。
「崇守!私は、夏目ちゃんを連れて来いと言ったのよね?連れて逃げろとは言っていないわね?」
本村は凍ったように固まると、脂汗をかいていた。
「夏目ちゃん、こっちに来て」
そのちゃん付けは止めて欲しいが、俺も怖くて文句が言えない。俺が少しだけ純花を振り返ると、純花が奪うように俺を抱えていた。
「何!!!!!この可愛さは……ほっぺにキスしちゃおうかな。でも、そうね……まず妹に動画を送って自慢しましょう!」
「キスは止めてください」
純花は、俺に頬擦りすると、あちこちにキスしていた。この姿になって分かったのだが、こうしてキスするのも、パワハラだろう。
「いやああ、写真にしても可愛い!!!!少し笑って欲しいな」
俺をくすぐって笑わせないで欲しい。
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