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このままでいいなんて思っていない。
でもどうしたらいいのか分からない。
ショータくん、あなたを見ていると、私は苦しい。
ショータくんだけだ、メンバーの中で連ドラの出演経験がないのは。ショータくんだけだ、ひとりで持ってるレギュラーがないのは。ショータくんだけだ、一回もスキャンダルを起こしたことがないのは。それなのに他の皆と一緒に消されそうになっている。一回も輝いたことがないままに。
いいの。本当にそれでいいの。
あなたは価値がないと思われているんだよ。何でも言うことを聞くと思われているんだよ。簡単に誤魔化せると思われているんだよ。反抗なんてしないと思われているんだよ。どうでもいいと思われているんだよ。ナメられているんだよ。消えてもいいと思われているんだよ。
あなたを輝かせるために、私はあらゆるものをあなたに注ぎ込んできた。あなたが夢を叶えたら、私の夢も叶うような気がしていた。報われるような気がしていた。私に価値があるような気がしていた。
でもショータくんは、皆に迷惑をかけられても文句のひとつも言わず(言えず……?)簡単に許しそうだし、ATARAXIAが解散するとなっても、にこにこ微笑みながら受け入れそうだ。
お願い、もっと必死になって。
あなたは必死になれば、報われる位置にいるじゃない。それだけのものを持っているじゃない。私がいくら頑張ったってティッシュはティッシュの価値しかないけれど、あなたはそれを何倍にも変えられる力があるじゃない。こんなにも私とあなたは違う。持っているものが全然違う。それなのにどうして今まで、似ている、なんて思ったのか。親しみ、なんて感じたのか。ショータくん、あなたのしていることは罪深い。あなたの存在は罪深い。
アイドルは夢を見させてくれる。
でも、ショータくんに夢を見ていた自分と、頭を下げながらティッシュを配っている私とは連動しない。夢の力はあくまで夢のままで、現実にはならない。
求められたい。手を伸ばされたい。その手がこちらまで届かなくてもいい。届かせようとしてくれる、それだけで私はよかった。それが、私は欲しかった。
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