蛇と花

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一言で表すならば、彫刻。 まるで神様が熱心に設計図を描いて熟考した上で、この浮き世に産み落としたかのような男の端正な顔立ちは、約四十名近くの人間が詰められたこの教室と云う名の箱庭では大変に華があった。 そんな天からの恩恵を過剰に与えられた男が、長い睫毛で丁寧に縁取られた瞳を酷く熱心に私へと向けている。 正確には、男は私を睨んでいる。 まさに蛇に睨まれた蛙の気分だった。
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