蛇と花

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何か相手の癪に障るような事を起こしてしまったのだろうか。 最初こそは身に覚えのない懸念に心情も表情も曇らせていた私だったが、入学して以来、彼とまともに会話を交わした記憶すらないせいで、視線の原因を探る試みは余りにも無謀だと判断し早々に諦めた。 そうは云っても、やはりどうしてこんなにも睨まれてしまうのかは気になって仕方がない。 頬杖を突いて黒板に書かれた公式をノートに綴りながら、私は例によって意図して彼と視線を合わせる事を回避した。
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