蛇と花

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高校生と云えどまだまだ成長期なのだと言い訳させて欲しい。 机に突っ伏していた身体を起こした私は、ぼんやりと淀む視界に無意識のまま眠ってしまっていた事実に漸く気づいた。 嗚呼、もう放課後になってしまったのか。 顔に当たる橙色の陽の光に目を細めて、急いで帰り支度をした。 ほとんど教科書の入っていない鞄を肩に下げて、誰もいない教室の扉を開けた刹那。 「きゃっ…び、吃驚した…。」 廊下が広がっているとばかり思っていた私の視界に映り込んだのは、鋭くも美しい男の双眸だった。
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