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自己紹介は簡潔に
「自己紹介だヨー、御祖父ちゃんだヨー。ベイーべ」
「どう観てもただのガラクタだがな」
隆志の部屋のベッドに立つブリキの玩具がカクカクと動いている。
どのような仕組みなのかソレは言葉を発し、隆志の祖父だと名乗ったのだ。
隆志は、一度は動揺するものの目の前の現象を飲み込むことしか出来ない。
しゃべるブリキなうえに、窓から投げ捨てても、次の瞬間には部屋に戻り、失敗に至っているのだ。
「そもそも祖父ちゃんなんて、一度もあった事ねえんだから信用できるか」
隆志の祖父は、隆志の父がまだ高校生の時『旅に出る』という手紙を残し忽然と姿を消していた。
その為隆志にとってはいないも同然の存在なのだ。
「ヒィーハァ~~ッ! ジイチャンハー、知ってるヨ、勝ってるヨ」
カタカタとソレは笑いだす。
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