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三年後
三年後。
緋色と菜菊は夫婦となった。氷女の村で暮らした。緋菜という氷女の子供が出来た。何より、生きている人間の男が村で暮らしている事は、歴史上無かった事だから、長老の失権は計り知れない。
男が居るこの村を受容する空気が出来上がっていた。氷女の村は空気が変わっていた。
緋色と菜菊は洞窟に度々足を運んだ。氷女の力で氷を作ってもらう。そうすれば、長距離を移動しても溶けにくいしかも上質な氷が作れる。町まで運んで、金にした。もう高貴なお方だけに振る舞わなくて良い。差金を気にせず、町の人々に分ければ良い。緋色夫婦と弟分の三人は、財を築き、人並み以上の暮らしが出来るようになった。久那は、今は思い人がいるが、なかなかの仲である。結婚に至るとしても、十分相手を幸せにする事が出来るだろう。
氷女は、相も変わらずひんやりとした空気を放っていたが、その心の中は、春のように暖かかった。
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