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「どっちでもいいからさー。付き合ってよ。今日だけでなくて夏休み中、ここ時給いいから、お財布買ってあげるよ」
逢花ちゃんはカチンと来たようだ。口調を強めて喋り始めた。
「それってバカにしてるんじゃない?どちらかハッキリ決めてよ。これじゃ、わたしと沙織だって仲が悪くなっちゃうじゃない」
沙織も同感だ。腹立たしさと悲しみが同時に胸に込み上げてきた。
「だって、二人共僕の事好きなんだろう。いいじゃん、あっ、どうせなら三人で付き合う?」
サー。
智哉君の頭に冷たい氷がかかった。その後ろには先程のカッコいいイケメン二人組が立っていた。
「さっきから聞いていたけど、随分酷いんじゃないか?これで頭でもひんやり冷やせよ」
「何するんだよ」
智哉君は掴み掛りそうな雰囲気だ。
「何を騒いでるんだい」
声の主を見るとパン屋のおじさんが仁王立ちに立っていた。
「お父さん、こいつ酷いんです。女の子を揶揄って」
「そうそう、お父さんからも何か言ってやってくださいよ」
お父さんって事はこの二人は息子なのか。確かに似ている。
「君はアルバイトの学生さんだったね。ダメじゃないか、女の子をいじめたら」
「別にいじめてるんじゃありません、告っただけで・・・」
智哉君はゴモゴモと何かを言って、バイトも辞めると自転車に乗り去っていった。
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