冷やしなさい

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自転車の通学というものは楽そうで大変だ。雨の日はレインコートを着なくてはいけないし、思わねところでタイヤがパンクしてしまう事もある。沙織は過去に数回パンクして学校を遅刻せざるを得なかった事があった。今日は大丈夫かなと愛車の真っ白な自転車と相談する。自転車は澄ました様にハンドルを傾げていた。  サドルに手を置くと思わず熱くなっているので一瞬身を引く。沙織はハンドルを持つと太陽の熱を帯びて陽炎を作るアスファルトの上を手で押して歩いた。これから走る通学路は決まっていて途中商店街を通過する。商店街と言っても郊外に大きなスーパーマーケットが出来てから正直寂れてしまっている。沙織は物心ついてから一度も商店街で買い物をしたことが無いのだ。 「沙織、おはよう。今日も暑いねー」 何時も待ち合わせをしている住宅街にある塀の横で逢花ちゃんは白い歯を見せて笑う。いつも家の近所で合流してから一緒に通学しているのだ。 「うん、日焼け止めクリーム塗ってきた」 「そっか、今日、プールがあるんだ」 「プールだけでなく部活や通学だけでも焼けるよ。ホラ、見て真っ黒」 沙織は焼けた腕を逢花ちゃんに見せた。 「ふふふ、でも沙織は日焼けが似合うよ。可愛いスポーツ女子だもの。あ、早く行こう」 逢花ちゃんはそう言うと自転車に跨りペダルを漕ぎ出した、ポニーテールの髪が弾んで揺れる。沙織は逢花ちゃんに続くと肩までの茶色いストレートの髪を風になびかせた。
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