僕の能力

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『アイ シー デッド ピープル』  子供の頃の僕には、随分前に流行ったホラー映画の少年の様に……──死んだ人が見えた。  夜中、トイレに行こうとして階段を降りると、着物を着たお婆さんがサー…サーッと(ほうき)で廊下を掃いていたり、冷蔵庫の微かな明かりに釣られてキッチンを覗くと、僅かに開けた冷蔵庫の前で頭から血を流した女の人がじっと立っているのを見たりした。  とにかく僕は、とてつもなく恐ろしい子供時代を過ごしたって訳だ。霊に遭遇する度に僕は泣きながら両親の寝床に割って入った。両親は怯えて震える僕を宥めて抱きしめてくれたが、本当に信じていてくれたかどうかは分からない。  欧米だったら(飽くまでも映画の中の話だけど)精神科医のカウンセリングとかを受けるところだろうが、うちの両親は人伝えに聞いた霊媒師と呼ばれる人のもとに僕を連れて行った。僕の奇行が一度や二度じゃないものだから流石に両親も怖くなったのだろう。  
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