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今俺の目の前にあるのは大好きなMr.sandwich……まぁ名前のまんまサンドイッチ専門の店なんだけど。の、これまた大好きなスモークターキーのクラブサンドとドリンク。 やけに早めに昼休憩に入ったな、の違和感の理由はこれか。 「大好きだろ?さぁ、遠慮せず食え!な?」 「で、も……」 そう言われてもなぁ。柳井先輩に昼飯を奢ってもらうような理由なんか思いつかない。 ・・・だけど。 紙製のテイクアウト専用フードパックの、何層にも重なったターキーブレストの白といい感じに熟したアボカドの黄緑色がオレを呼ぶ。ブラックオリーブは心なしかいつも注文するより多めに見えるからきっと50円プラスしてトッピングしてくれたに違いない。横に添えられた小さいきゅうりのピクルスには星型の持ち手が付いたピックが刺さっている。 「美味そ……」 ポロっと声に出すと先輩は「だろ?さ、食え!」と笑顔でサンドイッチが入っているパックをズズ、と寄せてくる。 「じゃあ、ありがとうございます。いただきます。」 喉を潤そうとストローを咥えると中身はアイスコーヒーで、氷が多めだからか少し薄くて丁度いい。 本当は手を洗いに行きたいんだけど、どうやら俺がかぶりつくまで一歩も動かないつもりでいるようで、柳井先輩の視線を浴びながらウエットタイプの紙ナプキンで手を拭き、 「いただきます。」 再度そう言ってサンドイッチを手にした。 ガブリ。 「どうだ?美味いか?」 いつもの癖で口いっぱいに頬張ってしまってて、俺は何度も首を縦に振って美味いっす、をアピール。 うん。間違いない。ココのサンドイッチは俺の中ではナンバーワンだ。 「その、あれだ、悪かったな。ヒロミ。」 柳井先輩はムグムグと咀嚼する俺を見て泣きそうな顔をしてそう言って。 「……?」 首を傾げてどういう意味ですか?と目で(まだ口に入ってるから)問うた、ら。 「ここんとこしばらく忙しくさせたもんな。ほんと、悪かったよ。こんなモンで埋め合わせできるとは思ってないし俺が言うのもなんだけど、元気出せよ、な?」 あー、そういうことかー。察した。うん。 ゴクン。と飲み込んで「いえ、あの、大丈夫ですから、本当に。」と伝えてみても俺がわざと健気に振る舞ってるとしか思われて無いようで、「みなまで言うな」とばかりに哀れみの顔を向ける。 なるほどそういうことか、とその元凶へ視線をやると…… 掛けているメガネをわざわざ外してハンカチで目尻を拭っている。 何であなたが泣いてるんですか?岡田先輩。 あぁっもう。喋らなきゃ良かった。 岡田先輩との今朝の会話を後悔しつつ、摘み上げたピクルスをポリ、と齧った。
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