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午後3時過ぎ。 コーヒーをデスクに置いたタイミングに休憩時間を狙ったようにアイツからのメッセージが来た。 【今夜時間ある?そっちまで行くから飲もうよ】 アイツからの誘いはいつも急で、そんなことはもう何年もの付き合いで承知していたはずなのに、喜びよりももっと早めに連絡してよと心の中で毒づいた。 しかも今日はど平日の水曜日。 ・・・行きたくないなぁ。 もっと言うと、互いに連絡すら1ヶ月以上は放置していたっていう割に軽いアイツの言いっぷりもなんだか引っかかる。引っかかるけれど、そんな誘いだとしても、だ。恋人からの連絡を喜ばないほど冷血な人間じゃない。 【りょーかい。高架下のビールの美味しいあの店にしない?暑いし先に入っててよ】 ピッと返信し、そしてすぐに既読が付くもののリアクションのないメッセージ画面に小さく溜息を零した。 数ヶ月前のデートで行った場所を覚えているか試すようなことなんか無意味だってわかってる。 わかってるんだけど。 それに、色々と深読みし過ぎるのは悪い癖だ。 だけど、 ・・・悪い予感。
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