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その午後から、更に翌金曜日、どことなく色々と上手く動いてる気がした。仕事が波に乗っている。そんな気持ちにますます背筋が伸び足取りも軽かった。
〜失恋の痛手を仕事で埋めようと必死なんだよ。
〜こっちが泣けてくるぅ。
〜意外と引きずるタイプだったんだな。
〜カラ元気って感じが痛々しくてもう……。
周囲の人間の俺を見る目と、聞こえてくる時点でダメだろ!の内緒話にも俺はにこやかに微笑む余裕もあった。
「板倉さん、良かったらいい子紹介するから気持ち切り替えたら声かけてね?」
お姉さん的立ち位置の近藤さんはわざわざ俺のデスクまで来てひとくちチョコを置いていくし。
何故俺がそんな残念な男キャラに仕立て上げられているのか(吹聴して回ったのは岡田先輩に違いないんだろう)腑に落ちない部分はあるけど。
架電のタイミングが良かったり、文献調査用の情報が予定より早めに手元に届いたり等々の“ミニラッキー”が続けば気分は上々で。
その気分のまんまで休日の土曜日。夏物のワイシャツを新調しようかなと、一人木更津のアウトレットまで(ちょっとでもお得な方がいいからな!)ウキウキと足を運んだ。
まだ明けきれずに愚図る梅雨空でさえ眩しく感じながら。
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