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カウンターの真ん中辺りに座っていた私は、右端に座っているイケメンと言われた男をひと目見ようとそっちの方向に顔を向けた。
ちなみに私とイケメンの間は空席で、私たちの他にカウンター席に座っている人はいない。
テーブル席は愛を語らうラブラブなカップルで埋まっていた。なので、そんなよそのカップルたちよりもイケメンに興味が持つのは当たり前。
しかし、チラッと見ただけでは、イケメンかどうかよく分からない。薄暗いし。だから、私は首をちゃんと横に向けて、しっかりと見ることにした。
そんな私の視線に気づいたのかイケメンがこっちを向いた。正面からの整ったお顔がしっかり拝める。
おー、なかなか私好みのイケメン!
うん、うん。イケメンが見られるなんて今夜はついているかも。
「何だよ。勝手に見るな。金取るぞ」
おっと、柄の悪いイケメンだ……。
キリッとした目に筋の通った高めの鼻、程よい厚みの唇。それとサラサラな髪。
私好みの顔であるのに、何で睨まれなくちゃいけないの?
「おい、何とか言えよ」
かなりの不機嫌オーラを漂わせるイケメン。顔のいい人って、睨むと迫力あるから困ってしまう。
「そうね」
「何がそうねだよ」
「ちょっとどんな顔か興味があっただけ」
正直に言っておこう。
「ふーん。で、この顔見てどう思った?」
「かっこいいと思った」
顔についての感想を聞かれるとは……とりあえず、正直に答える私。
「まあ、当然な感想だな」
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