一四回目

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一四回目

「この前は、すみませんでしたっ!」  それでも、アイツは諦めなかった。  あの敗北から一週間後、休養期間が明けた夏休みの終わりの部活。再びアイツと顔を合わせた私は、まず謝られて、それからやっぱり、 「でも、俺はセンパイのこと、好きです!」  告白された。 「……ふーん」  私は結局、これしか言えなかった。  するとアイツは、少し苦しそうな声でこう言った。 「センパイは、やっぱ俺のこと、嫌いですか……?」  そのとき、私の中で何かのタガが外れた。 「……うん、キライ」 「そうですか……」 「キライキライ。アンタなんかキライ」  何度も何度も。ナイフで切り刻むように。 「キライ!」  包丁で心臓を突くように。 「……分かりました」  これでアイツも満身創痍のはずだ。そう思ったのに、 「じゃあ俺、センパイに好きになってもらえるように、頑張りますから!」  彼はまだ、立ち上がった。  立ち去る彼の背中に、彼には聞こえない声で、静かにナイフを投げた。 「そういうところ、キライ」  彼を刺したはずなのに、私のほうが痛かった。ものすごく、痛かった。
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