第三章 「ちぃちゃん」は無理

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   * 「……こいつが、一目惚れって奴なんだなあ……」 「 え゛。」 「えぇっ?!」  長年見て来た毅からは、予想も出来なかった単語と態度。  壮介は絶句して固まり、和史は笑み崩れた。 「そっかー!おめでとうガンガン!お赤飯炊かなきゃ!……あ。」  急に、祝福一色だった態度が一変した。 「……ちょっと、待って……?それってもしかして、壮介とガンガンが千都ちゃんを巡って三角関係になるってこと……?!」 「そうなのか?!」 「なるか!!」  衝撃と驚愕の表情を浮かべる二人に、壮介は吐き捨てた。 「俺はもうそういうのは懲り懲りだって、お前らが一番良く分かってる筈だろうが!」 「……分かってるよ。分かってるから、なるべく二人が顔を合わせないで済む様にしてるんでしょ」  和史は溜め息を吐いて、壮介が握り締めていた打ち合わせの資料を指差した。 「個人的には、だからって女性全部を拒否しなくても良いと思うけど」  「余計なお世話だ。……そんな事より」  壮介は和史から視線を外して、毅の方に向き直った。 「……岩。もう一度あいつに会うつもりなら、その前にお前に言っておく事がある」 「え?」 「お前さっき、俺が常滑焼の欠片を持っていたのを見たな?」  壮介は、毅を()め付けた。    
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