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「よし。じゃあ、自分でやってみるか」
「はいっ」
新しいへらを渡されて、千都香は張り切った。
「あれを継ぐなら、量はこの位だな。水はそのスポイトで少しずつ入れて、混ぜながら様子を見ろ」
「分かりました」
下に新聞と白紙を敷いたガラス板の上に、中力粉らしい粉が大匙で半分くらい出される。そこに千都香は、手近な水入れからスポイトで水を足した。
「これこそ、白玉みたいだわねえ……」
「ええ」
へらで水を混ぜ、固さを見ながら清子に頷く。
水が少ないとボソボソしていて、グルテンどころではない。壮介が見せてくれた状態を思い出しながら、千都香は水を少しずつ足していった。
「だいぶ柔らかくなってきたかも……」
「ああ、そこで水はストップな。とりあえず均一になるまでよく混ぜて、足りなきゃ後でまた足せ」
「これ、漆も混ぜるんですよね?」
「ああ」
「じゃあ、ここであんまり柔らかくしない方が良いってことですね」
「だな。よく分かったな」
「……ありがとうございます」
小麦粉を捏ねる千都香と、見守る壮介。
そんな二人を見ながら、清子が感心した様に言った。
「先生は、褒めて育てるのがお上手ねえ!」
「え?」
「そうですか?」
清子の言葉に壮介は目を見開き、千都香は僅かに眉根を寄せた。
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