第五章 機械音痴と報酬と

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「これが、今のページ。で、これが、新しく足したい要素なんですけど」 「うんうん」 「ふむ」 「ほう」  土曜日。   壮介の元に、千都香が訪れていた。  今回は金継ぎ教室ではなく、ホームページ等の打ち合わせが目的である。その為、千都香だけでなく、今のホームページを作った和史と、何故か毅も、参加していた。  現在のホームページと、今後の提案。その両方を千都香は紙面に印刷して持参していて、それらを見比べながら話が進んでいた。 「写真は、良いな。どんな風に教室をやっているのか、見たことの無い俺でも分かりやすい」 「必要な持ち物や、金継ぎの大体の流れの説明も親切だね」 「……ありがとうございます」  毅と和史の賛同を得て、千都香はほっとした。自分と清子が壮介にあれこれ言って写真や文章を用意したものの、今日までの間に資料を纏めているうちに、そこまでしなくても良いのかもという気持ちが湧いて来ていたからだ。 「そう言って頂けて、良かったです。先生はあんまり乗り気じゃないみたいだし、ちょっとだけ余計なお世話かもって思ったんですけど……安心しました」 「あらら」 「壮介っ!!」  自信なさげな千都香の言葉に、和史は苦笑し、毅はいきり立った。 「なんだよ」 「お前、せっかく、千っ……生徒さんが、ご好意で提案してくれている事なんだぞ?!少しくらい、前向きに考えても良いだろうが!」 「まあまあ、ガンガン。ちょっと、落ち着いて。」  壮介に掴みかからんばかりの毅を、和史は笑いながらなだめた。  
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