5.よこぶーブイビクトリーバルカンボルケーノ...

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ

5.よこぶーブイビクトリーバルカンボルケーノ...

小学生の頃を思い出したぼくらは思い出話が止まりません。 「俺らの小学校って変な奴が多かったよな」 「フマちょのこと覚えてる? きょうくんの家に7.8人集まって遊んでたときのフマちょの行動がとんでもないんや。 人ん家の台所に勝手に入っていって、包丁取ってきてよ。 その包丁を口にくわえて、両手にハサミをもって、ゾロの必殺技'三千世界'を叫びながらと、えんぶーに突撃するからな」 「えんぶーかわいそうやな。 そんなことされたら怒ってやり返すやろ?」 「えんぶーは、体格がフマちょの2倍はあるけど、こころ優しい少年やからな。 もちろん、半泣きで逃げ回る」 「きょうくんちは常に親がおらんし 無法地帯やったもんなあ」 「フマちょも、きょうくんも野球部やったな。野球部はむちゃくちゃな奴が多かった」 「いや、野球部にもまともなやつおったやん?」 「誰や?」 「ぼーやん...」 「ぼーやんのどこがまともやねん! レフトゴロされてんぞ!」 「レフトゴロ? 少年野球ならライトゴロはありがちやけど、センターゴロでさえ珍しいやん。 けど、ぼーやんはレフトゴロ...」 「打球が速すぎる、かつ足が遅すぎる。奇跡のコラボやん」 「コーチもナイスバッティングと褒めればええのか、ちゃんと走れと叱ればええのか不思議な顔してたよな」 1人、出身小学校が違うきゃぷてんは頭をぽりぽり掻きながら横槍を入れます。 「フマちょもぼーやんもたいしたことあらへんなあ。 1番すごいのは、やっぱり'めこ'や! 原チャリにひかれても、原チャリを弾き飛ばすねんからな」 「でた!中学時代のめこの武勇伝! その話、何度聞いてもおもろいなあ」 「原チャリ側からしてもラッキーな点がええよな。 普通、人を轢いたら大惨事やん? 大怪我でもさせたら、運転手の人生狂ってまうからな。 けど、轢いた相手がめこやったおかげで、運転手は助かったわけや」 「原チャリという文明の力をはねかえす、魔人ブウに激似なめこでさえも、'ボルチチ'には泣かされるからな」 「'ボルチチ'ってあだ名なんなん?」 きゃぷてんは疑問を呈します。 「チクビがボルルルってなっててんな?だからボルチチ」 「そうそう」 「ボルルルってなんやねん?」 「ボルルルはボルルルや。こんな感じでさあ」 ジェスチャーでボルルルルを表現するボブに、ぼくは違う話題を振ります。 「そういや、ボルチチって、 ボブの妹と結婚するんやろ?」 「それは彼が勝手に言うてるだけや!」 「でもこの前の飲み会で、'兄さん'って呼ばれてたやん」 「...」 小学生時代の同級生の愉快な話は尽きません。 「まあ、俺らの小学校は何と言ってもあだ名が素晴らしかったよな」 「上腕二頭筋ってあだ名のやつおったやん」 「筋肉ムキムキでモテそうやな?」 「女子やけどな」 「は?女子?」 「そう、女子。 二の腕が太かったから、上腕二頭筋というあだ名がついた」 「女子でも容赦ないなあ」 「猫のションベンの臭いがするっていうりゆうで、 '猫川' ってあだ名をつけられた谷川もおった」 「人間の部位や動物なだけまだましやろ! 小東なんてあだ名が 'からあげ'やぞ?」 「からあげが好きやからそのあだ名なんやろ?」 「ちゃう。 おかんが唐揚げ屋さんで働いているから。」 「回避しきれん...」 「びぴぷーとか、 中尾ヒューマンドレイクとか、あの頃はそのあだ名が普通やったけど、今思い出すとおもろいよな」 「何と言ってもよこぶーのあだ名はインパクトあったよな」 「ん? 'よこぶー'があだ名じゃないん? 「よこぶーはあだ名の一部やな。 正式名称としては、 よこぶー... ブイビクトリー... バルカン...」 「待て待て、長くね? よこぶーの後ろに小学生が好きそうなとにかくかっこいい言葉をあだ名に詰め込んでるやん」 「このあだ名のやつって、 もちろん男やんな?」 「もちろん! 女や」 「女子のあだ名にしてはかっこよすぎるぞ!」 「まだ終わりちゃうから最後まで聞いてくれよ? よこぶー ブイビクトリー バルカン... ボルケーノ... (このあとさずかしかっちょええ言葉が来るんやろうな、次はどんなんが来るねん?という期待) にしかわ」 「は...?」 あまりに長いあだ名に驚きを隠せないきゃぷてん。 「よこぶー、ブイビクトリー、バルカン、ボルケーノ... ここまではわかるわ」 「わかるんかい」 「でも、最後のにしかわってなんなん?」 「言葉の響きやろな。試しに言葉にしてみろよ」 「よこぶーブイビクトリーバルカンボルケーノ...にしかわ」 「めっちゃしっくりくる...」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!