2.街角調査隊~僕の髪型どうしましょう?~

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2.街角調査隊~僕の髪型どうしましょう?~

「おい、ほんまに聞くんか?」 「もちろん。とっしーはどんな髪型が似合うか、いろんな人の意見を参考にしたほうがええ。」 そして、僕は道行くおばさんに声をかけました。 「さーせん!さーせん!僕、今から散髪するんスけど、どんな髪型が似合いますかね?」 唐突な質問におばさんはあぜんとしつつも、 「うーん、角刈りとかどうかしら?」そう言い、にっこり微笑みました。 僕は何をしているのか?話は1時間遡ります。 友人のボブときゃぷてんは僕に言いました。 「とっしー、お前もっとかっこよくなろうぜ?そんな芋芋したちんちくりんでは高校生活やってけんぞ!」 僕にアドバイスするのはボブ。ボブというあだ名からボブ・サップのようなゴリゴリ鳩胸を予想するでしょう。が、彼は柔和な笑顔が素敵だねっ、フツーの好青年です。口癖は「こんなまずいのよう食わすな。もう一個くれ」 このボブ、みなさんの周りにも一人はいるであろう悪の参謀キャラでして... イメージとしては、ヤッターマンのボヤッキーがイケメンになった感じです。「あらほらさっさー」 もうひとりはきゃぷてん。23時間睡眠という偉業を何度も成し遂げたお人です。イケメンでバスケ、テニス、空手となんでも万能。ですが、突出はせず、「全てフツーなフツーな奴。稜北台の基準点」と呼ばれることになります。 この2人がミジンコなみの単細胞生物、アホヅラ丸出しの僕にいろいろ入れ知恵をしてくれるわけです。 「とりあえず散髪やな!俺らに任せろ!公園で切ったるわ!」 「たしかに俺の髪だせーな!よっしゃ、切ってくれ!」 ど素人の友人に髪を切ってもらうという謎行事を僕はガッツリがっしり受け入れました。 「じゃあ、1000円な」 「はっっ!!金とるん?」 「もちろん、俺らもプロや」 「嘘つけ!」 「まあそれは置いといてとりあえず髪型や! とっしーのその林の中に生えたキノコみたいなもっさりヘアださすぎる。町の人に似合う髪型聞いてみよ!」 「は?」 「だから、町角で調査するんや!んで、その結果多かった髪型にしよう!俺ときゃぷてんが散髪しまっせ」 「おもしろそーやな!やってみよ?」 無茶な理論と思いつつ、二言返事で快諾した僕は町角でインタビューを開始したのでした。このあたりのフットワークの軽さが僕が単細胞生物と言われるゆえんでした。 しかし、僕たちはこの町をみくびっていました。駅付近を歩く人はほとんどがご老人。電車から大勢のご老人が佃煮のようにうじゃわちゃーっと降りてきます。 冒頭のおばちゃんでさえ、角刈りを推奨するのだから、ご老人も角刈りを勧めてくるのかな?そんなな僕の予想は見事にはずれました。 「さーせん!ぼくどんな髪型が似合いますかね?」 ご老人は蚊が止まるような速度で首をひねり、僕を舐め回すように凝視しながら、ぐっと息を吸い込んで渾身の声を振り絞り答えてくれました。 「.......ボウズ!」
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