第6章〜酒の肴〜

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「唐菓子です‼︎」  ん?全く聞き覚えがない。唐菓子?何のお菓子なのだろう。私はやる気を一瞬で削がれ固まってしまった。 「ごめん。タカさん。全く想像がつかないのだけれど、唐菓子って何?」 「えっ⁉︎雛さん、唐菓子を知らないんですか。あんなに有名なお菓子。唐菓子の中でも一番歓喜団と言う餡を茶巾状に包んで揚げるあの何とも言えないお菓子が好きなんですよ。」 「うーん。茶巾状ではないけれど、揚げて餡という事はかりんとうまんじゅうみたいなものかしらね。」 「かりんとうまんじゅう?」 「今度はタカさんが分からなかったわね。」  お互いにわかるもので説明をしようと思うのだが、全くお互いに想像がつかなかったため、実際に作ってみることになった。 「さぁ。やるわよー。わからなすぎて気合が漲ってきたわ。」 「そうですね。なんとかなりますね。閻様は結局は甘いものが好きなので、甘ければ大丈夫だと思いますよ。」 「そんな、雑な感じでいいの?私、壮大な頼まれごとしなかったっけ…。」  私たちはまた軽口を叩きながら、怖い怖い地獄を後にするのだった。
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