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しばらくすると本当に少しずつ落ち着いてきたのだが、私のお皿の中には沢山の食べ物が残っていた。食べられると思うものたちは必死に気持ち悪い中食べたのだが、調理してあるものはさっきのトラウマからか全く手を出すことが出来なかった。私が食べ物たちとにらめっこをしていると、みんな心配そうに私に視線を送った。
「雛。もう、そんなに無理して食べなくてもいいんじゃないかな。」
「閻さん、ありがとう。私ね、将来自分のお店を開こうと思っていたぐらい料理が好きなの。戻れるのか戻れないかわからないけど、この食べ物たちがどうしてこうなったのか知りたいの。」
閻さんとロクさん、メイさんは思いついたように顔を見合わせ、まだ食べていない食事たちをテーブルに置いたままにし、私に立つように促した。そして、そのまま閻さんに手を握られ、どこかに引っ張られて行った。
「えっ⁈ちょっと閻さん、どうしたの?」
「雛。君にしか頼めないことがあるんだ。」
「私にしか頼めないものって?」
「それは行ってみてから説明するよ。」
閻さんは妖艶にニコッと笑った。その笑顔に魅入られてまるで魔法にかかったかのように私はそのままぼーっとただただ人形のように手を引っ張られて行った。
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