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「はい。お待たせしました。」
私は、謎にずっとキッチンで待ってたみんなの方へ振り返った。
「良い香りが近づいてきた。」
「手際も中々だったぞ。」
「すごいですね。ハンバーグってこうやって作るんですか。」
みんな私の料理の手際と香りに誘われて近づいてくるなり褒めてくれた。しかし、目線はずっとハンバーグから離れず、みんなが食べたいことが伝わってきた。
「そんなに見られたら、早く出さなきゃダメよね。折角だから食堂のフロアで食べましょうか。これ、そちらに持って行くからみんな席で待ってて。」
私の言葉にみんなが素直に頷くとゾロゾロと行進するかのようにキッチンから出て行った。一人を除いては。
「閻さん。どうしたの。」
「いや。手伝った方がいいかなと思ってね。」
確かに手元を見てみると4人分のお皿は私には一度には運べないかなと思っていたところだけあってその優しさに感動してしまった。
これ現代でスッとできる男子はきっとモテモテよね。
「ありがとう。確かにこれは一気には持って行くことが出来ないなと思っていたところだったの。じゃあ、こっちの二つは持ってくれるかしら。」
「お安い御用だよ。」
閻さんは怪しくも美しい笑顔を私にむけて扉を開けて待っていてくれた。そして私を先に通すと私の後にゆっくりと着いてきた。
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