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どんどん廊下を進んでいくうちに綺麗な中庭が見えた。そこには日本庭園のような綺麗な風景が広がっていた。大きな池が真ん中にあり、そこには赤い橋が渡されていた。その周りを背の低い木々が道の横に点在し、その合間に赤い灯篭が立っている。下は綺麗に手入れされている芝生で埋め尽くされていた。それがまた雰囲気を醸し出しておりとてもステキなお庭だった。その中庭に見惚れているとその男は私の手を掴みどんどん廊下を通って奥へと進んでいく。ずっと引っ張られているはずなのに何故か私は恐怖を感じなかった。
夢だからかな。
しかし、どんどんどんどんこれは夢なのか現実なのか全くわからなくなっていた。
これが現実だったらどうしよう。それに自分の名前が思い出せないなんて。今まで不安なんてなかったのに。綺麗な風景と綺麗な建物にワクワクしていたのに。
突然不安な気持ちに襲われて手を引っ張られながら私は俯き、自分の手をギュッと握った。
「着いたぞ。そこに座れ。」
顔を上げると、そこには読書をしている神経質そうなインテリ眼鏡をかけた男の人と目つきが悪く、筋肉質のガッチリとした体型をしている男の人が座っていた。
読書をしている男性は髪は黒髪、センターで分かれている上にサラサラのストレートヘアで綺麗に整えられている。そして、服装はステキな濃い緑色の着物で、帯は黒、そして、黒の羽織をピシッと着ていた。
対する筋肉質の男性は、読書をしている男性と同じ着物を着ているのだが、完全に着崩されて、黒の羽織は着ておらず、よく見ると、椅子で筋トレをしていた。
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